日本×ボスニア・ヘルツェゴビナ 国際親善試合

試合総括
今年は例年にない寒波が欧州に押し寄せているそうだ。その余波を受けたのか、この試合も小雪の舞い散るコンディションの中行われた。

日本のシステムは「4-4-2」で、久保、高原の2トップ。中盤からは小笠原が小野を押し出す形でスタメンとなった。

前半、日本とボスニア・ヘルツェゴビナの戦力が拮抗しているせいか、双方とも決定的なチャンスを作れない。日本は終了間際に得たCKから中村が絶妙なセンタリングを上げ、高原がヘッドで押し込んで先制する。

後半、開始直後からボスニア・ヘルツェゴビナが猛攻に出る。裏に抜けたバルバレスに対して中沢がPKを与えてしまい、これを決められて同点とされる。さらに、後半22分、GK川口がシュートを取り損ね、こぼれだまを押し込まれて逆転される。日本は、後半終了間際、中村の絶妙なクロスに中田がダイビングヘッドで合わせて同点に追いつき、2-2で引き分けた。

トルシェの亡霊に踊らされる守備陣
この試合日本は4バックで臨んだが、特に後半、相手選手に裏をとられてピンチを招く場面が多かった。狙われたのは左サイドの三都主だ。前半はそこそこいい動きをしていたが、後半は守備がおろそかになり、簡単にドリブルで突破されていた。

また、コンパクトな守備を築くボスニア・ヘルツェゴビナと比べても、明らかに日本の守備は間延びし、相手にスペースを謙譲していた感がある。前回のインド戦ではレベルの差から守備の課題が良く分からなかったが、今回の対戦でそれが浮き彫りになったことだろう。

やはり日本の守備は3バックの方が安定している。これはJリーグのトレンドがそのまま反映されていると思う。

世界的には4バックの方が主流だが、日本のJリーグでは3バックが未だに多い。攻撃的なプレイヤーが次々と海外に飛び出していく一方で、守備陣は日本に浸かりきっていて4バックに慣れていないのだ。

サイドバックの守備力が低いのも、普段クラブチームで余りやっていないからだと考えられる。

私は決して3バックが4バックに劣っているなどとは思っていない。それぞれ一長一短だ。だが、今のままではジーコ悲願の4バックにはなかなか対応しきれないかも知れない。

トルシェが信奉した“フラット3”の呪縛。それは今も尚日本に蔓延し、システムの多様化を妨げているのだ。

一つ擁護しておけば、PKは中沢が倒したというより、バルバレスが自らダイブしていたように見える。恐らく誤審だが、審判はロボットではないので責める事はできない。

影の功労者
前半、日本の守備が決定的に崩されなかったのは、この試合の守備的MFに入った福西のおかげだろう。彼が中盤でうまく攻守のバランスをとるフィルターの役割を果たしたことで、DFへの負担が減ったのだ。

後半はそれでもスタミナが切れたのか、足がとまっていたが、前半は終始安定しており、その活躍は賞賛するに値する。

福西は稲本のようなパス供給能力に長けたプレイヤーではない。しかし、私は守備的MFというのは、必ずしもそうした優れたパサーである必要はないと思っている。相手の先を読み、パスコース、ドリブルコースを効果的に遮断する能力に、安定感があればいい。

世界的な守備的MFとして知られるクロード・マケレレだってパスセンスは酷いものだ(失礼)。

中田、中村はやはり別格
長年、トップリーグで揉まれているだけあって、中田、中村の実力はやはり別格だ。広い視野、素早く的確な状況判断力、高精度で効果的なパス供給能力を併せ持っている。

それにしても中田のボディバランスはいったいどうなっているのか。小笠原や小野でさえもプレスで潰されている中、彼だけは対等に渡り合っていた。

日本の2得点はいずれも中村の絶妙なクロスから生まれたものだ。中田の執念のダイビングヘッドも見事だった。

小野や稲本が消える中、中田、中村の活躍は非常に光るものがあった。欲を言えば、ル・マンでファンタジーを繰り出し続ける松井の活躍も見てみたかった。

決定的に崩せない原因は?
ここ数戦の日本の攻撃を見ていると、スルーパスから相手の守備を崩して得点するというケースがない。得点は決まって遅攻やセットプレーからだ。

これは前回も指摘したことだが、日本はトランジションの戦術的秩序が極端に悪い。ボールを奪ってもなかなか選手があがらず、数的優位を作れない。結果的に相手に守備を整える時間を与えてしまい、遅攻一点張りになってしまうのだ。

サイドアタックも相変わらず浅い位置からセンタリングをあげては跳ね返されている。フィンランド戦で一体何を学んだのか、これでは疑われても仕方ない。最初はミスってもいい。だが、同じ過ちをみすみす繰り返すなど、愚かさの極みだ。

この辺りを今一度練り直してもらいたい。速攻やサイドアタックからニア・サイドへの低く速いセンタリングなどを取り入れれば、それだけでも随分攻撃の幅が広がるはずだ。

W杯出場は逃したものの、ボスニア・ヘルツェゴビナはスペインやセルビア・モンテネグロ相手に対等に渡り合ったチームだ。この時期にこういうレベルのチームと対戦できたのはよかったかもしれない。
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by testarossa7537 | 2006-03-01 13:07 | サッカー


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