次期アジアカップはEURO2008、北京オリンピックとの競合を避ける目的で一年繰り上げて、2007年に行われる。
試合総括
日本のシステムは4-4-2で、中盤は台形型。長谷部がオフェンシヴで代表初先発となった。
前半、日本はポゼッションで大きく上回り、インド陣内に殺到するが、インドが健闘もあって決定的に崩すには至らない。32分、インドがクリアミスしたボールを小野が押し込んで日本先制。その後は特に見せ場も無いまま前半を終える。
後半に入ると一転、プレスをしないインドに対して日本が一方的に攻め込む。久保の2得点のほか、佐藤の代表初得点、長谷部(公式判定では巻のゴールになった)、福西のゴールで6-0とし、大差で格下のインドを蹴散らした。
何故前半攻め切れなかったのか?
後半で一挙に5点をたたき出した日本だが、前半はインドを決定的に崩すには至らなかった。これは前半のインドの守備組織が予想以上に堅牢だったこともあるが、やはり日本の両サイドバックの攻撃参加が少なすぎたのではないか。
コンパクトなスペースで守備をする組織に対して、前半の日本は中央突破や浅いセンタリングばかりが目立った。これではボールを跳ね返されても仕方ない。こういう守備組織を崩すなら、内(中央突破)と外(ウイングアタック)を織り交ぜ、相手に的を絞らせないことが重要だ。
この日サイドバックで先発した三都主、加地は前半、ほとんどあがりを見せなかった(或いは、あがりのタイミングが遅かった)。後半になって積極的に前に飛び出し、攻撃の起点となって見せ場を作っていただけに、スロースタートを改善してもらいたい。
もう一つの原因として、トランジション(攻守の切り替え)の遅さをあげたい。日本はボールを奪ってからゆっくりと動きの無いパスを回していたが、もっとダイレクトで前線に繋いでいかなければなかなか堅牢な守備組織を崩すことなどできない。
ゆっくりボールを回しているということは、それだけ相手に守備を固める猶予を与えてしまうことになるのだ。
欧州で最も戦術的秩序が整っているとされるクラブと言えばチェルシーだが、知将として鳴らすジョゼ・モウリーニョが最も重視しているのが、このトランジションの早さである。組織全体が素早いトランジションを意識していることこそ、彼らの強さなのだ。
日本はこのあたりからまだまだ見習うことがある。
久保はまだスタミナ不足
後半、冷静なループとロスタイム終了間際の得点で2ゴールをあげた久保だが、やはりスタミナ不足は否めない。前半は積極的に動き回っていたが、後半開始後しばらくは完全に消えていた。ようやくフィニッシュに顔を出すようになったのは、インドのプレスが緩んでからだ。
こうして見ると、やはりフルタイムで動き回るにはまだまだスタミナ不足。しかし、ゴール前での落ち着き様には久保らしさが見えたし、2得点という結果から分かるように、ずばぬけた決定力も健在だ。本番に向けてコンディションが上向いていけば、まだまだ活躍が見込めるだろう。
若手が魅せた
先日のフィンランド戦では新戦力、村井の活躍が印象的だったが、この日も期待の若手が結果を出した。
特に長谷部の動きは光っていた。90分通して運動量が豊富で、持ち前のドリブルで前線に飛び出し、攻撃の起点となる場面も多かった。強烈なミドルはゴール前で巻にあたり、惜しくも代表初ゴールはならなかったが、存分に存在感を示した。
FWの巻も素晴らしかった。運動量が豊富なのは相変わらずで、ボールをどこまでも追いかける狼のような姿勢と、泥臭いプレーは今の日本に必要だ。ゴールこそならなかったが、フィニッシュに何度も顔を出していた。
後半途中に巻と交代で入った佐藤も結果を出した。日本人得点王らしく、ゴール前の動きは狡猾で、ボールのもらい方もうまかった。得点をあげたことで今後さらに動きがよくなりそうだ。
熾烈を極める選考
国内組として活躍する小笠原、久保らに台頭してきた若手の長谷部や佐藤。ここに海外組が入ることを考えると、23の枠を争う競争はいっそう厳しいものになる。
特にここ数試合で若手の活躍が光っている。ベテラン勢もいよいよ危機感を募らせていることだろう。競争が激化すればするほど、日本の選手層は厚くなる。
選考には首脳も頭を悩ますだろう。ジーコ監督にとっては嬉しい誤算か?